ROAD TO『絵本 まるコジ』
このお話がはじめて掲載されたのは、1992年発売の雑誌『幼稚園』(小学館)。 その後、『ももこのファンタジックワールド・コジコジ』全6巻(ソニー・マガジンズ)『まる子とコジコジ』全2巻(幻冬舎)として書籍化されました。 残念ながら現在ではすべて絶版となっているため、今回あらためて「絵本」としてまとめることになりました。
印刷会社の匠の技術で…
『絵本まるコジ』は、さくらももこ先生が、カラーインクやパステル、色えんぴつを駆使し、繊細に執筆した作品です。しかし原画が執筆されてから30年近くたっているため、実はインクがにじんだり、色がとんでしまったり、こすれてかすんでしまったりした部分も少々ありました。今回の絵本化では、印刷会社の匠の技術で、描かれた当時の原画をできるだけ再現しています。原画の紙の端には、さくら先生がためし塗りをしたあともありました。
さくら先生の
手描きネームが発見されました。
今回の『絵本まるコジ』を刊行するにあたり、さくらももこ先生の原画を管理している方に過去の原画を探してもらいました。すると雑誌「幼稚園」(小学館)の連載用に執筆された手描きのネーム(漫画のアイデアをまとめる時に描くラフコンテ)が見つかりました!えんぴつで描かれたさくら先生のやさしいタッチ! これはぜひこの絵本に入れたい!ということで、絵本の見返し(カバーをめくった内側にある鮮やかな色紙のページ)に、さくら先生のえんぴつのタッチをなるべく再現したインクを使って印刷されています。
『絵本 まるコジ』出版によせて
さくらももこ先生の事務所のさくらプロダクションの スタッフの方より、この本の発売についてメッセージをいただきました。
「まんがを読むより前のちいさな子どもたちに」とさくらが描いた作品です。コジコジと一緒にいるちびまる子ちゃんがいつもよりちょっぴりお姉さんぽくて思わずニンマリしてしまいます。こんなにかわいくやさしい二人の物語を、もっとたくさんの方に知ってもらいたい!と思いました。あらためて今また“絵本”としてみなさまにお届けできる事に心から感謝しています。さくらもきっとすごく喜んでくれていると思います。集英社児童書のみなさま、この絵本制作にご協力くださったたくさんのみなさま、そして『絵本 まるコジ』を手にとってくださったみなさま! 本当にありがとうございます!
ドーンとアップで見てみよう
制作チームが原画をルーペでのぞいてみると、さくら先生の細かい作業が見えてきました。みなさんにも、高解像度でスキャンしたデータの一部をご紹介します。
〇3巻9月、お月見中のえんがわには、すすきと萩のお花がいけてあります。すすきの穂先まで、ひとつひとつ細かく描かれています。
〇2巻1月、さくら家のおおみそか。一家だんらんの居間にかけられた日めくりカレンダーは、「大森酒店」のもの。新しい年のカレンダーも、大森酒店からもらえたかしら?
4冊入るステキなボックスができました
ホリデーシーズンに合わせて、まるコジ全4巻セット化粧ケース入りが完成しました。実はこの化粧箱、ミントグリーンのキュートなフリルや四隅の小さな飾り、「絵本まるコジ」のタイトル文字をくくる枠まで、さくらももこ先生の直筆イラストを使っています。(4つのイラストのまわりをくくる、緑とみずいろのだ円も先生の絵です)
生前のさくら先生は、カラーイラストに、こうした飾り罫や枠のイラストを手描きでふんだんにあしらっていました。同じ形がなんども繰り返されるフリル模様は、パソコンならコピー&ペーストで簡単に増やせますが、手描きの場合、大変な時間と根気が必要です。だからこそ、仕上がったイラストの味わいもひとしお。レースの中には、チューリップのような小さなお花が可憐に咲きほこっています。
さらに、このコーナーをご覧の皆様だけにこっそり内側もチラ見せ。
絵本の見返しにも収録している、さくら先生の下書きイラストがたっぷり散りばめられています。(絵本の見返しには無いイラストもたくさんありますよ)さらに、絵本を出し入れするたびに目に入る背の部分には、先生の文字がピッタリ見えるように配置されています。単品で4冊購入するのと同じ価格です。ホリデーシーズンのプレゼントにぴったりです。